【元外科ナースが解説】消化器外科看護師におすすめ!役に立った参考書5選!

消化器外科に配属されたけど、学生時代には聞いたこともなかった術式も出てきて難しい。参考書を買って勉強したいけど、どれがいいんだろ?
消化器外科では手術侵襲の大きい術式もあるため、難しく感じますよね。学生時代には目にする機会が少ないものもたくさんあります。ここでは実際に私が使用して、使いやすいと感じた参考書を紹介しますね!

この記事でわかることは

  • 消化器外科で対象となる臓器、疾患
  • 消化器外科看護で必要な知識
  • 実際に役に立った参考書5選
目次

消化器外科で対象となる臓器や疾患

消化器外科で対象となる主な臓器は以下のようにわけられます。

  • 上部消化管:胃、食道
  • 下部消化管:小腸、大腸
  • 肝胆膵領域:肝臓、胆のう、膵臓

外科的治療、いわゆる手術が行われるのは取り切れる状態の悪性腫瘍に対して行われることが多いです。悪性腫瘍以外でも食道部分の裂孔ヘルニアや、腸閉塞や軸捻転といった腸の流れが妨げられている状態に対して手術が行われることもあります。

病状や治療方針によって術式が異なり、使用される麻酔や術後の安静度も違いがあるため、看護を行う上ではそれぞれのポイントを抑えておく必要があります。

消化器外科看護で必要な知識

消化器外科では、主に手術目的で入院する患者様が多いため、周手術期看護の知識を深める必要があります。

周手術期看護で必要となる知識は以下のようなものがあります。

  • 各臓器の役割と疾患による身体への影響。
  • 開腹手術、腹腔鏡・胸腔鏡下手術の身体への影響。
  • 全身麻酔、局所麻酔による身体への影響と安静中・安静後のポイント。
  • 術後経過日数による術後合併症とその発症リスク。
  • 術後合併症予防のためのケア。
  • 腹腔ドレーンや胸腔ドレーンの役割と排液の正常・異常のアセスメントポイント。
  • 手術創の処置方法。
  • 吸引や導尿・膀胱留置カテーテル管理、経管栄養、ストーマ処置などの看護技術。
  • 気管切開中の観察項目。
  • 酸素投与中の呼吸状態の観察ポイント。
  • 輸液、輸血の役割と投与中の観察項目。
  • 心電図モニターの見方。
  • 急変時の対応方法。
  • エンゼルケアの方法。
  • 家族看護。

etc….

思いついただけでもこれだけ上がるのですが、この他にも学ぶべきことがあるだけでなく、各臓器・疾患・術式ごとにも異なった対応が求められるため、必要な知識は多岐にわたります。

手術は体に大きな影響を及ぼす治療のため、特に高齢者では術後に容体が急変することも少なくありません。

そのため、術後の管理については正確な知識に基づいたアセスメント力が求められます。

特に食道癌や膵臓癌に対する手術は、身体への影響が大きく術後の管理とても難しいです。

また小腸や大腸に対する手術で人工肛門を造設した場合、術後の身体変化に合わせて装具の変更などもアセスメントする必要があります。

こうして考えてみると、外科看護は大変そうだなと感じてしまうかもしれません。

実際、大変です。楽ではありません。

ですがその分、術後の回復過程を患者様と一緒に実感していけることや、退院後の指導などでご家族と関わることも多いため、とてもやりがいを感じることができます。

手術や入院は、ご本人やご家族にとってとても大きなイベントであるため、心配や不安を強く抱いていることが多いです。

その心配や不安を、いかに軽減させるかも重要な看護の一部のため、安心して頂くためにも確かな知識と技術は身に着けておくことが重要です。

ここまで手術のことばかり取り上げてきました。

中には術前化学療法で入院されている方もいらっしゃいますが、割合としては手術目的の方が多いため、この記事では周手術期看護の学習で役に立った参考書をご紹介します。

役に立った参考書5選

写真でわかる 臨床看護技術②アドバンス(インターメディカ)

術後の患者様には、体内の排液を排出すための管(ドレーン)が挿入されていたり、創部の清潔を保つための処置が必要になったりと、必要となるケアが多くあります。

この書籍は、臨床現場で必要となる主な看護技術が14個の項目に分けられ記載されています。

処置の内容だけでなく、術後合併症予防のケアや術直後の清拭・離床のポイントなどもまとめられています。

また、全ての項目が患者モデルを用いた写真付きで解説されているため、実際の場面を思い浮かべながら学ぶことができます。ストーマの解説なんかは、なかなかリアルに再現されていてとても参考になります。

気管挿管など、処置を実施するにはある程度の経験が必要になるものまで記載されているため、新人看護師だけでなく中堅看護師の方々でも役に立つのではないでしょうか。

〈おすすめポイント〉

  • 臨床現場で必要となる主な看護技術が14個の項目でまとめられている。
  • 処置の内容だけでなく、術後合併症予防などのケアについても記載されている。
  • 患者モデルを用いたフルカラーの写真とともに解説されているため、実際の場面をイメージしやすい。
  • 新人看護師だけでなく、中堅看護師でも役に立つ内容になっている。

先輩ナースが書いた消化器外科ノート(照林社)

皆さんはご自分の勉強用のノートや学んだことをまとめたメモ帳などを持っているでしょうか?

分厚い自作ノートを持ち歩いている看護師さんを見かけると、どんなことを書いているのか気になったこともあるのではないでしょうか。

本書は看護師でもある著者の方が、実際にノートにまとめていたものを元に執筆されているちょっとユニークな参考書です。他の方がどんなノートを作っているのか見ることができ、より現場に近い目線で書かれているため実践でも活用できます。

文章にはマーカーが引いてあるような装飾がされていたり、緩めの手書き風イラストが描かれていたりと、本当にメモ帳のようなデザインになっています。メモ帳なようなデザインというと、「大丈夫?」と思う方もいるかもしれませんが、イラストはかなり細かく描かれており、ところどころに写真つきの解説もあるため、学習するうえでも十分に役に立ちます。

消化器外科では大きな手術の部類に入る、食道全摘術や膵頭十二指腸切除術などにも触れられています。

また、術前・術後の管理やハイリスク患者の解説、手術以外の内視鏡治療などについてもまとめられているため、外科にとどまらず消化器領域を幅広く勉強することができます。

一方で、それぞれの疾患や治療内容についての解説は重点に絞って書かれている印象のため、文章量は比較的少な目です。1年目の看護師さんや異動したてでこれから勉強するという看護師さんにとっては、気軽に読みやすく消化器科領域を理解するのに役に立つのではないでしょうか。

〈おすすめポイント〉

  • 看護師でもある著者の方が実際にまとめたノートを元に執筆されている。
  • 手書き風のイラストはマーカー調のデザインがされており親しみやすい。
  • イラストは細かく描かれており、写真も載っているためイメージしやすい。
  • 手術侵襲の大きな手術についても記載されている。
  • 消化器外科領域だけでなく、内視鏡治療などの内科領域についてもまとめられている。
  • 術前・術後・ハイリスク患者のケアなど、周術期看護について一通り学ぶことができる。
  • 文章量は少な目のため読み進めやすい。

日ごろの?をまとめて解決 消化器ナースのギモン(照林社)

皆さんは日ごろの看護師業務の中で、疑問を感じて調べても明確な答えが見つけられなかったことはありませんか?

本書は消化器科領域の現場で、実際にあった疑問から構成されており、全てQ&A形式で解説されています。

内容は疾患別の疑問、内視鏡の疑問、ケアの疑問に分けられています。その中で細かいパートごとに分かれており、合計150個ものQ&Aが記載されているため、読みごたえがあります。

しかも一つ一つが、「確かに!」と言いたくなるような疑問点のため読んでいて参考になるだけでなくとても面白いです。

例えば、「手術時に着用する弾性ストッキング(肺塞栓予防のためのきつめの靴下)を、患者様が以前使用していたものを再利用するため持参したが繰り返し使えるのか?」という疑問が記載されています。

これは実際に私も経験しましたし、よくあります。

基本的にはわからないことがあればその場で質問し、わからないまま処置にあたることが無いようにすべきです。ですが、時間が無く医師の見解を聞くことができず指示を受けただけで対応することはよくあります。

そういう場合に、どういうエビデンスがあるのか、なぜそう指示されたのかを振り返って調べるのにとても役に立ちました。

〈おすすめポイント〉

  • 消化器科領域の現場で実際にあった疑問から構成されている。
  • Q&A形式のため読みやすい。
  • 150個もの解説が載っているため、読みごたえがある。
  • どれも現場目線の疑問点のため、共感しながら日ごろの疑問解決に役立つ。

看護の現場ですぐに役立つ「輸液」キホン(秀和システム)

輸液の知識は、消化器外科領域だけでなくすべての診療科において必要な知識です。

しかしいざ看護師として働いてみると、輸液の種類が沢山あったり、似たような名前の物があったりと覚えるのに困難さを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

特に外科領域では、術前・術後の経過によって使用される輸液は異なりますし、術後は容体が変化しやすいため必要に応じて輸液が変更になることが多いです。

本書では、名称による輸液成分の違いや疾患や患者の状態によって適した輸液の解説が詳しくまとめられています。加えて、輸液を始める際の留置針の刺入管理から輸液ポンプでの持続点滴管理など、薬剤だけでなく輸液管理全般について学ぶことができます。

また、輸液製剤使用の根拠について10個の症例をもとにした解説が記載されており、実際の場面を想定して理解していくことができます。

新人看護師さんにとっては1冊手元に置いておきたい、強い味方になってくれるのではないでしょうか。

〈おすすめポイント〉

  • 名称による輸液成分の違いや疾患や患者の状態によって適した輸液の解説が詳しくまとめられている。
  • 輸液を始める際の留置針の刺入管理から輸液ポンプでの持続点滴管理など、薬剤だけでなく輸液管理全般について学ぶことができる。
  • 液製剤使用の根拠について10個の症例をもとにした解説が記載されており、実際の場面を想定して理解していくことができる。

看護の現場ですぐに役立つ モニター心電図(秀和システム)

心電図の勉強をしたことがある人の中には、勉強をすればするほど情報量が多く途中で嫌になった方も多いのではないでしょうか。

私もその一人です。

教科書や多くの参考書では本当に細かく数値や解説が記載されているのですが、情報量が多すぎて覚えきれず、心電図そのものに苦手意識を抱いてしまっていました。

本書はそんな時の救世主のような存在でした。

この本の特徴は、細かい数値や原理や記載されておらず、より緊急性の高い心電図波形に重点が置かれています。14個の心電図波形について病歴や対処方法、ドクターコールの具体例や想定される治療内容まで書かれており、より実践向きの内容になっています。

病態、症状→アセスメントの視点→対処法→ドクターコール例→治療例

のように順を追って解説されているため、実際の流れを想定した学習ができます。

外科領域では術後に急変する患者様が少なくありません。

常にベッドサイドに付き添うことはできないため、モニター監視中は心電図波形の変化を見逃さず、緊急性の高い状態に必ず気づけるようにしておくことが重要です。

心電図の理解に苦手意識があった私でも、抵抗なく読み進めることができたため、これから勉強したいと考えている方にはおすすめです。

〈おすすめポイント

  • 細かい数値や原理や記載されておらず、より緊急性の高い心電図波形に重点が置かれている。
  • 14個の心電図波形について病歴や対処方法、ドクターコールの具体例や想定される治療内容まで書かれている。
  • 「状態、症状→アセスメントの視点→対処法→ドクターコール例→治療例」の順に解説されておりわかりやすい。
  • これから勉強したいと考えている方にはおすすめ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事で紹介した参考書は以下の5つです。

  • 写真でわかる 臨床看護技術②アドバンス
  • 先輩ナースが書いた消化器外科ノート
  • 日ごろの?をまとめて解決 消火器ナースのギモン
  • 看護の現場ですぐに役立つ「輸液」キホン
  • 看護の現場ですぐに役立つ モニター心電図

医学の知識や看護技術は常にアップデートが必要なので、参考書もなるべく最新のものがおすすめです。

今回紹介した書籍を参考に、ご自分にあったものを探してみてはいかがでしょうか。

いろんな知識を得て、やりがいのある外科病棟ライフを送りましょう!

皆さんのおすすめがあったら是非教えてください!最後まで読んで下さりありがとうございました!
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この記事を書いた人

訪問看護師×WEBライター
30代で看護師に転職。
総合病院で、外科病棟を経て訪問看護師に。
フリーランス看護師を目指して日々奮闘中。
現役看護師向け、看護学生向けのお役立ち情報や、副業、転職など色々な働き方情報を紹介。

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